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解剖実習ほど治療家にとって有意義なものはなかなかない





みなさま、こんにちは。



突然ですが、献体(提供して頂いたご遺体)を使用しての解剖実習を経験したことはありますでしょうか?







先週と今週、2週に渡ってお手伝いをしてきた海外研修・解剖実習が終わりました
(それからさらに1週間経ったので少し前の話になりますが)



今回はアシスタントとして参加させてもらったのですが、個人的には研修の中でも解剖実習が一番楽しかったです(毎回のことですが笑)







解剖実習は何をするのかというと、献体を使わせてもらって筋肉、神経、血管、内臓などを見ていきます







僕はアシスタントという立場だったので、生徒さん達に解剖学を教えていました




どれが何筋でどんな作用があるのか、起始と停止はどこか、支配神経は?

などなど実際の体を使って確認して行きます










献体を使った解剖学のメリットは、筋肉の走行が3Dで確認出来、筋膜や他の組織との関係が見え、教科書通りではない実際の体を見ることが出来ます



なので教科書や授業で学んだ内容をより深く理解出来るようになります







ある筋肉がなかったり、筋肉の走行に差があったり、内臓は一人一人大きさや形が違うし、病気があったかどうか、それがどんな病気だったのか、タバコを吸っていたかどうかもわかるし、

献体だからこそ学べることがたくさんあります









僕は学生の頃から数えるとこの6年間でほぼ毎年、合計6度、献体を使わせてもらった解剖実習を経験しました


最初の2度は学生として教わる立場で、

4度は教える立場で










教える立場になると責任が増えますが、

その分とても勉強になります









そして実は教える前の準備段階が一番好きに献体をみれるのでこの時間が僕は一番好きだったりします








解剖実習は何度やっても新たな発見があるし、前回はわかっていたけど今回は忘れているものがあったり、初心に帰るという面でもとても有意義です





学生のうちは国家試験の為にいっぱい勉強してたくさんのことを覚えますが、
資格を取って働くといつもやっていることや使っている知識以外がどうしても薄れていってしまいます









今、国家試験をもう一度受けたら合格する気がしないなんていう有資格者はたくさんいるのではないでしょうか?







解剖だけの話ではないですが、基礎・基本となる知識は定期的に復習した方が絶対いいです



人間の記憶とは曖昧なものなのでどうしても少しずつ忘れたり、間違った記憶になったりします


特に僕たち治療家は人を治すことを生業としているので人の体について知らなければなりません

中途半端な記憶のままでやっているとそのうち医療過誤を起こしてしまうかもしれませんし、治療がうまくいかなかったりします









また、基本を学びなおすことで学生時代には気づけなかったことに気づき治療のヒントが得れる可能性大です




学生だけでなく、是非とも5年、10年、20年と治療家をやって来ている先生方に今一度献体を使った解剖実習に参加してもらいたいですね





今度は学生相手だけじゃなく、いろいろな先生方と一緒にいろいろな意見を出し合いながら解剖実習が出来たらなーなんて思ってます



Mits







このまま終わると感想だけで終わってしまうので今回の解剖実習で学んだことをメモ代わりに書き残しておきますね







まずは、学生からの質問で気づかされたこと


梨状筋について



梨状筋は解剖の教科書には作用で股関節の外旋に働くと書いてあります

図を見てもらえばわかると思いますが、直立した時に梨状筋が働けば筋の停止部:(大転子)が起始部:仙骨(前面)、腸骨(大坐骨切痕)の方向に引っ張られ股関節は外旋します

pirifotmis.jpg


教科書通りですね



ただ、股関節が屈曲している場合(90度以上の屈曲時)には、停止部付近の走行が大転子の前方を通るようになり、股関節の内旋作用が働きます


つまり、梨状筋が硬くて症状が出ている人、例えば梨状筋症候群や股関節の可動域制限などの場合に梨状筋を緩ませるには屈曲位での股関節外旋のストレッチが効果的になるということになります。その際にゴルフボールやストレッチポールで梨状筋へ圧をを加えるとより効果的ですね

他にも股関節の内転筋群は肢位によっては股関節の屈曲と伸展の両方の作用に関係してきたり、動きによって働きが変わる筋肉もあります


1次元や2次元だけの動きを考えるだけではまだまだ足りないですよ






いろいろなところで議論の的になってるそうなのですが、

棘上筋の付着部について






棘上筋といえば肩関節の外転の作用があるローテーターカフの筋肉の一つですね
解剖の教科書では停止部は上腕骨大結節となっています

ただ、この付着部、実際の献体でよく見てみると一点ではなく、上腕骨上部で大結節と小結節にまたがるように面でくっついてるんですよね

個人差があるとは思いますが、停止部小結節説もあながち間違っていないのかなと。


どっちでもええやんと思うかもしれませんが、これによって筋膜の走行の関係性の考え方が変わって治療のアプローチ方法が変わってきたりします



具体的にどういうことかと説明すると

棘上筋の原因による肩関節の外転制限(インピンジメントなど)があるときに小結節に停止する筋肉、大円筋、肩甲下筋、広背筋にアプローチをすることで症状が改善するかもしれないと考えられるようになります

さらにその先の筋肉や筋膜の走行を考えて、腰方形筋や腓骨筋へのアプローチが肩の外転に関わってくるのでは?とも考えられます(詳細は省きます)


まだこのアプローチは試したことがないのでなんとも言えないですが、患者さまで棘上筋に問題があって肩に痛みがある人に有効である可能性が出てきますね


ちょっとした違いによって考えられることは案外たくさんあります



こういった教科書を読むだけでは考え難いことを思いつかせてくれるヒントが献体を使わせてもらった解剖実習ではたくさんあります








次に、これは当たり前といえば当たり前ですが、

・筋肉や腱の走行は人それぞれ




学校の授業でよく例として出てくるもので知ってる人が多いかと思いますが、長掌筋がない人が居ますよね
それと同じように他の筋肉も欠損していたり走行が教科書と違っている場合があります(欠損しているというより別の筋と結合してひとつになっていると言った方がいいかもしれません)

今回の献体で確認できたのは、小指伸筋腱が総指伸筋腱と腱部で完全にくっ付いていて一つになっていて筋腹部はひとつの筋となっていました

前々回には、ハムストリングスの大腿二頭筋と半腱・半膜様筋が大腿後面上1/4あたりから坐骨結節まで完全にくっ付いてひとつの筋のかたまりとなっていた献体もありました

今回研修を受け入れてくれたアメリカのPTの先生は、
半腱・半膜様筋がくっついててひとつの筋となっている献体を見たことがあるそうです



人の体は千差万別です
だからこそおもしろい






・神経や筋と、筋膜・結合組織や皮膚との関係




解剖学的に言うと皮膚は関節の可動域に2%しか関わっていないと言われています
ですが、僕の臨床経験上では関節可動域に皮膚・結合組織がかなりの割合で(パーセンテージはわからないけど体感では半分以上)関わっているように思います

また、体が硬い人は、筋肉が硬いと考えることが多いと思いますが、
皮膚や神経が硬くなることによって体が硬くなると考えることが出来ます


教科書では神経の走行を確認することは出来ます
しかし、神経がどれくらい硬く、結合組織とどれほどの強度で繋がっているのかまでは知ることが出来ません


先に結論を書いておきますと

関節可動域制限と体の硬さは筋肉の硬さよりも神経と皮膚・筋膜・結合組織の硬さから来ている(推測)

ということです







まず、神経の硬さですが、近い感触のものは、縄跳びのなわや、大根の沢庵と言ったところでしょうか


筋肉の腱と比べると神経の方が伸びます(伸縮性は神経によって違います)
坐骨神経や脊髄神経は太く、その分伸縮性が高かったです

皮膚や結合組織は死後硬直の関係で生きている人間に比べると硬くなっていましたが、
それを踏まえても筋肉より硬かったです
特に皮膚と筋膜はかなり硬く、筋肉に比べると伸縮性は半分にも及ばないです



僕たちの関節が曲がる時、片面の筋肉は伸ばされ、反対の筋肉は縮みます
それと同じように皮膚や筋膜・神経も伸縮されます


つまり、皮膚や筋膜・神経が硬ければ十分に関節を曲げることが出来なくなります
お年寄りの体の硬さや寝たきりの人の体の硬さは筋肉よりこっちが原因のことが多いのではないかと思います



皮膚は筋肉よりも伸縮性が実は小さいです(おそらく)
なぜなら太さや層が薄いのでその分伸ばされる長さも短くなるからです




関節を曲げる時にその皮膚が十分伸ばされるために僕たちの体にはシワがあります


膝・股関節・足首・脇・肘・手首・指・首

曲がる部位には全てシワがありますよね

この説明でわかりにくいという人は体のシワを伸ばして関節を曲げてみてください

かなり曲げにくくなりますよね
そういうことです(結局めんどくさくなって詳しく説明しないってやつ)



筋膜や結合組織が硬くなる原因はいろいろあるのですが、受傷後の炎症、血流不全、組織の死滅(打撲など)、こいつが厄介で、初期の怪我の処置をしっかりしなかった為に起こる怪我の慢性化を引き起こします


以前僕はひどい足関節の捻挫をして、一度の受傷で右足の前距腓靭帯、後距腓靭帯、腫腓靭帯、 脛腓靭帯、三角靭帯を同時に痛めたのですが(どんな受傷機転やねんて感じですが)、その時に一番最後まで痛みの原因として残っていたのは足関節部の結合組織の硬さと腓骨筋の筋膜の硬さでした

5ヶ月くらいあぐらもかけず、正座も出来なかったのですが、筋膜リリーステクニックやグラストンテクニックという治療法で治してもらった経験があります

治療法についてもうちょっと知りたい方はググってみてね。
気が向いたらまとめて記事あげます



最後に神経の硬さについてですが、こいつが硬くなると体が硬くなると同時に腕や脚の痺れを引き起こしたり、非継続性の痛みを引き起こします

神経の硬さは、神経そのものが硬くなる場合、神経の周りの結合組織が硬くなる場合、姿勢不全によって神経が常に引っ張られることによって起こる神経の緊張の場合が考えられます
(考えたら他にもありそうだけど今回はこれくらいで)



これらは僕の推測の域を出ていないので論文や文献などを読み漁っていつか追及したいと思っているのですが、まだ行動には移せてないです


神経の硬さの問題であれば、神経ストレッチで神経を伸ばしたり、原因となっている結合組織を緩めたり、姿勢改善を施してあげると効果があげられると思います





これは前から気づいてはいたのですが、頭の中のイメージだけで実際に確認していなかったことで今回確認出来たことで、


腸脛靭帯と外側広筋、下腿の筋膜との関係性について






ランナー膝と呼んだりする腸脛靭帯炎の原因は何か考えると、大腿筋膜張筋の張りや腸脛靭帯の張りがポンと出てくる人が多いかと思います


腸脛靭帯炎の治療で僕が今まで学校や実習先で習ってきたのは、ストレッチやマッサージで腸脛靭帯を緩めましょう、大腿筋膜張筋を緩めましょうということでした


これで効く人もいますが、患者さんの中にはこれだけではまったく改善しない人もいました




なぜでしょう?





献体を見て確認出来たことは、腸脛靭帯と外側広筋の筋膜が密接にくっ付いているということ
また大腿部の筋膜は前面・後面含め全体が繋がっていること


つまり何が言いたいかというと、

特に外側広筋が硬くなり、筋膜が硬くなれば腸脛靭帯に影響を及ぼすであろうということ
内転筋群、ハムストリングスの硬さも腸脛靭帯の硬さに影響を及ぼすであろうということ
腸脛靭帯の停止部は脛骨と腓骨に繋がっているので下腿の筋膜、筋肉の緊張が、
さらには下腿の筋を通して足関節の硬さが腸脛靭帯の張りを作り出す可能性があるということです

また、上部では大腿筋膜張筋の付着部である腸骨は骨稜部で腹部の筋の筋膜と繋がっているので体幹部の筋や筋膜の緊張も腸脛靭帯炎の原因になりうるということです



実際の僕の患者さんで、薄筋の緊張が強いのが原因でランナー膝になった方がいました。その方は大腿筋膜張筋と腸脛靭帯、腓骨へのアプローチでは思うように効果が出なかったのですが、4年来の症状が薄筋へのアプローチ後すぐに消えました
常にあった違和感もなくなったそうです





こういう風に献体を見ることで得られる情報や治療へのヒントはかなりたくさんあります


今回挙げたのはごく一部にしか過ぎません
他にもたくさんのことを僕は今までの解剖実習で学んで教えて来ました


治療に関した解剖の知識であれば学校の先生方にも劣らない・情報量が多く楽しい授業をやる自信があります





もし興味を持ってくれる方がたくさんいるのであれば治療家向けに解剖講義を将来開催していくのもありかななんて考えてます


ご要望があればいつでも連絡してください!


Mitsでした〜
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